事務長室から
デジタル石器時代
「e-GOV」のトップページには、多くのエラー報告が並びます。分かっちゃいるけど萎えるのです。
梅雨が近づくとともに、この時期は憂鬱な気分になります。
というのも、役所から様々な報告書の提出を求められるからです。新年度入りからしばらく経ったのを、見計らっているのでしょうか。
水質検査報告、産業廃棄物処理報告、高齢者雇用状況報告……。さらには、物価や電気代の高騰を賄う補助金を申請するならば、やはり様々な書類を作成する必要があります。その提出方法・様式は、役所によってバラバラ。そして、その「使えなさ」は、提出先の役所が大きくなるほど悪化する点が問題です。
最も腹立たしいケースは、提出ファイルの様式がエクセルの場合です。役所はエクセルが大好きなのですが、何でもかんでもマクロやスクリプト(一種の自動処理)を組みたがります。するとどうなるか。例えば、病院の住所を入力する場合、「郵便番号は半角数字」でないとダメ、地番表示は漢数字で「二丁目」と表記しろ、などと要求されます。
百歩譲って、入力時に注意されるならまだしも、全体を入力し終わってから「提出」や「チェック」ボタンをクリックすると、真っ赤なエラー表示がずらずらと出てきたりします。これ、よほど神経の太い人でないと卓袱台をひっくり返したくなると思います。
テンプレ作成者は正確性を大切にしているのでしょう。しかし、その意図は空回り、と指摘せざるを得ません。あまりに融通が利かない上、何が誤っているのか分からない場合もある。「だったら紙で提出する」と電子申請を断念するケースを容易に想像できます。つまり、不出来なシステムが、デジタル化を大きく阻害しているのです。
もう一つ、例を挙げます。
「e-GOV」や「Gビズ」と呼ばれる政府のデジタルポータル(窓口)サービス。2021年、菅義偉内閣の肝いりで発足したデジタル庁が運営します。いわば日本デジタル行政の総本山ですよね。
それが「使えない」のです。パソコンで利用する場合、専用アプリでのログインが必要ですが、何しろ年に数回しか使わないため、起動する度にアプリの更新を求められます。煩わしい、時間の無駄。しかもこのe-GOVアプリ、簡単にダウンします。提出ファイルを添付できない、必要事項を記入し終えて「提出」をクリックしたら「スクリプトエラー」!? ――しかも入力してきた内容が消えている!!! ここでも女神様のような寛容な心が要求されます。
私は何も、被害体験を盾に悪口を並べているつもりはありません。便利になった部分は認めます。例えばふるさと納税の確定申告は、マイナンバーカードとマイナポータルの利便性によって、急速に普及したのではないでしょうか。他のサービスでも、なぜ同様の運用が出来ないか、に憤っているのです。
上記の高齢者雇用状況調査の提出要請は、同じ封書で「障害者雇用状況報告書」と共に郵送されてきます。元締めは厚労省で、東京多摩病院の場合、提出先は両報告書ともハローワーク府中です。ところが電子申請の場合、高齢者はe-GOVに直接入力で、障害者はエクセルに記入した上での添付なのです。なぜ異なる手法にするのか、まったく意味が分かりません。
今回、障害者雇用のエクセルファイルを電子申請しようとしたら、何度やっても添付できません(昨年は出来ました)。思わず、ハローワーク府中の担当者に電話すると「そのような声をいくつか受けています。差し支えなければメール添付で」とのこと。私は、ハローワーク職員の苦労に同情を禁じ得ませんでした。
世界では今、性能が大幅に向上したAI利用の是非が真剣に語られています。でも、日本のデジタル行政はまるで石器時代にいるかのようです。


