事務長室から
資格の効用
年始に向け、院内のロビーには入所者のみなさんが牛乳パックで作った大鳥居、賽銭箱が飾り付けられました。
東京多摩病院では、院内誌「そよかぜ」がレク・広報委員会の手で発行されています。A 3サイズで年3~4回の発行。季節のイベントの様子や長寿のお祝い、新しく入ったスタッフ紹介が主な内容です。
事務長にとっては毎年、新年あいさつが主舞台になります。今年の1月号は第87号を数えましたが、私は以下のような文を寄せました。
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最近、心踊ることは、資格試験に合格するスタッフが増えていることです。
この2年間、介護福祉士にはAさん、Bさんら3人が、ケアマネージャーにはCさん、Dさん、Eさんが見事合格を果たしています。体力的にも時間的にもきつい中、「日々の業務」に抗ってステップアップを果たすその心意気。本当に尊敬します。Eさんは看護職復帰にも挑戦する予定です。是非とも皆でその決意をサポートできれば、と思います。
他にも、さらなる高みを目指す同僚は多くいます。
介護職のFさん、Gさんの2人は介護福祉士試験が目前で、正月気分に浸っている余裕はないでしょう。正看護師や専門看護師を目指すスタッフもいます。シフト的にも精神的にも同僚の支えが重要で、師長さんたちも勤務表作りに知恵を絞ります。資格の獲得は言うまでもなく給料アップの近道なので、本人の頑張りは当然ですが、応援する側にとっても奮闘する同僚の姿は励みになるのではないでしょうか。
実は、私も危険物取扱者乙4類(ガソリンなど)に合格しました。本当はこのあいさつで、自慢話を書こうと思っていたのですが、まる1年、5回目でやっと受かるという苦しい戦いを強いられました。何とか新年あいさつに間に合い、胸をなで下ろしているところです。でもまあ、数十年ぶりに味わう「合格」の味は格別です。
さて、今年はどの資格を目指しましょうか?
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東京多摩病院では、資格を取得した職員に資格手当を毎月支給しています。介護福祉士やケアマネージャーなど、業務に直結するものはもちろん、2024年4月からは直結しなくても、国家資格なら手当(国家でなくても難易度に応じます)を原則出すようにし、就業規則にも盛り込みました。
今日の医療福祉業界では「人材不足」が常套句です。否定はしませんが、いま一所懸命に働く職員が、より一層のスキルアップを目指せることも大事ではないでしょうか。医療介護を支える知識は、医学しかり接遇しかり、精神的なケアなど極めて間口が広い。何かしらのスキルが役立つ場面が多いと思います。野球チームで言う、「選手層の厚さ」につながると考えました。
隗より始めよ。「新年あいさつ」のように、私が危険物取扱者を選んだきっかけは、流行りのBCP(事業継続計画)作りでした。
病院にとって災害時、最大の心配事は停電と断水です。中でも電力が絶たれると、医療機器もネットもエレベーターもダウンします。BCPでは非常用電源があるから大丈夫、となるのですが、多摩病院のディーゼルエンジンの稼働時間はせいぜい2、3時間。燃料タンクが20リットルしかないからで、あまりに心許ない。だったら、補給用の軽油を安心して保管できるよう、資格取得を目指した次第です。
狛江市の条例では200リットル(ドラム缶1本分)が保管上限なので、稼働時間は10倍に延びることになります。ちなみに水ですが、多摩病院には手動の井戸があります。飲料用には厳しいかも知れませんが、万が一の際には頼ってみてください。
ところで私は、受験勉強に懲りて附属高校を選んだ筋金入りの試験嫌い。新聞社の入社試験以来(1年目は落ちて留年しました)、30数年ぶりの「受験」では、新鮮な感動を覚えました。
というのも、勉強のチャンネルがあまりにも多様になっていたからです。危険物は4回落ちましたが、その度に新しい方法を探し、試しました。最初は、紙の参考書。次はYouTubeの講座(あきれるほど投稿があります)。スマホのアプリでは、昔の単語カードのように一問一答が可能です。グーグルのAIサービス「NotebookLM」は関連サイトを収集すると、何と独自の予想問題も提示してくれるのです! 感動ですね。
最後は、国家試験取得が趣味、という方がまとめた「合格のコツ」テキストを発見。印刷して結局は紙に回帰したのでした。
受験勉強という超保守的な作業でも、これだけ様変わりしていました。
最大の収穫でした。


